ハンバーガーショップには必ずサイドメニューにあるフライドポテト。私たちは普段、何の疑問を抱かずハンバーガーにはフライドポテトだと思い込んでいます。
しかし、ちょっと立ち止まって考えてみてください。なぜ、ハンバーガーにはフライドポテトなのか?
この答えは、アメリカでのフライドポテトの名称にありました。
今回はフライドポテトが付け合わせになった経緯を見ていきましょう。
アメリカでは「フレンチフライズ」と呼ばれている
ハンバーガーはアメリカ生まれの料理です。
それにも関わらず付け合わせのフライドポテトの名称はアメリカで「フレンチフライズ」と呼ばれています。直訳すると「フランス風揚げ物」です。
フライドポテトの発祥の地はベルギーだといわれており、17世紀にはすでに食べられていたようです。
なのに、名前にフランスの名前が入っているのは不思議に思われるのではないでしょうか?
この理由は第3代アメリカ大統領のトーマス・ジェファーソンが関係していると言われています。
18世紀後半、ジェファーソンがフランス駐在大使の頃、フライドポテトと出会いいたく気に入ったことから、後年ホワイトハウスでも出させたそうです。
ここから、アメリカ全土に広まっていったという説があります。
また他の説もあります。
同じく18世紀後半ごろ、アメリカ軍の兵士がベルギーとフランスの国境近くに駐留していた頃によく食べられていたともいわれています。
どちらの説も有力で、どちらが正しく間違いかは検証が難しいものです。
フランスではメジャーな付け合わせだった
フレンチフライズと呼ばれるアメリカ料理は、フランスから渡ってきたと考えられます。それは名称や逸話から推察されます。
それでは、フランスでフライドポテトはどのような位置づけだったのでしょうか?
フランスでジャガイモが盛んに口にされるようになったのは18世紀です。
農学者のアントワーヌ=オーギュスタン・パルマンティエがジャガイモの優れた栄養価に目をつけ、普及に尽力しました。
それまでジャガイモは、家畜の飼料にしか用いられていません。しかも、ハンセン病を引き起こすといわれ、フランス議会で栽培を禁じられるほど禁忌食だったのです。
ですが、パルマンティエは寒冷地でも栽培が可能で栄養価の高いジャガイモの普及を目指し、様々な働きかけをします。
その中の一つが貴族への試食会です。豪華な料理の付け合わせとして、ジャガイモを出しました。
貴族たちは綺麗に調理されたジャガイモに舌鼓を打ち、そこから徐々にフランス全土に広まっていったのです。
つまり、最初にジャガイモは付け合わせとしてメジャーシーンに躍り出たことから、アメリカに渡ってからも付け合わせとして出されるようになったのです。
イギリスのフィッシュ&チップスの影響も
フライドポテトが付け合わせになっている有名な料理に、イギリスのフィッシュアンドチップスがあります。
とてもメジャーなファーストフードで、イギリス本国だけでなく連邦国であるオーストラリアやニュージーランドでもよく食べられている料理です。ちなみに、イギリスでフライドポテトは「チップス」と呼ばれています。
フィッシュアンドチップスの発祥は19世紀だといわれ、フレンチフライズに比べ100年ほど遅れています。それでも普及の速さでいうと、フィッシュアンドチップスも負けていません。
19世紀は産業革命が起きた時代であり、欧米諸国が世界各地を植民地支配していた時代でもあります。
当然、アメリカにもフィッシュアンドチップスは伝わっています。海沿いの街ではよく食べられています。
ですが、アメリカではファーストフードというよりもレストラン(ダイナー)のメニューの一つというポジションで普及しました。
揚げた白身の魚をフィッシュアンドチップスにせず、ハンバーガーのパテにするとフィッシュバーガーの出来上がりです。
残るフライドポテトはバンズに挟めませんから、やはり付け合わせになります。
アメリカは移民国家ですから、料理など文化の発生に「これが正解」を見つけるのは困難です。
様々な国の様々な文化の影響を受けていると考えるのが無難です。
海と時を渡ってきた日本のフライドポテト
フライドポテトは実は日本だけでしか呼ばれない名称です。
アメリカでは「フレンチフライズ」、フランスでは「ポム・ド・フリット」、イギリスでは「チップス」と呼ばれています。名前が違うように、少しずつ製法や味も違います。
人種のるつぼであるアメリカを経て日本にやってきたフライドポテトは、今では日本人好みに改良されています。
もしかすると、未来の日本のハンバーガーの付け合わせは日本風フライドポテトと呼ばれるようになっているかも知れません。
フライドポテト以外にもハンバーガーの付け合わせで好きなものがあれば、教えてくださいね。
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